人権保障も「ジャパン・アズ・ナンバーワン」へ

昨年は人権関連法が連続して施行されました。4月に「障害者差別解消法」、6月は「ヘイトスピーチ解消法」、12月には「部落差別解消法」と、3類型に関わる差別の解消をめざす法律です。

なぜ、この時期に3つの人権関連法が施行されたのか。やはり、2020年東京オリンピック・パラリンピックを控えてのことでしょう。

オリンピック憲章の「オリンピズム(オリンピック哲学)の根本原則」には次の記載があります。
「・・・憲章の定める権利および自由は人種、・・・国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」

同和対策審議会答申が1965年の8月に示されたことにちなんで、8月は「差別をなくす運動月間」になっています。そこで、「部落差別解消法」を学んできました。

第一条(目的)には「…現在もなお部落差別が存在する…」と記載されています。これまで部落差別の存在を否定する人もいましたが、法律で明記された意味を重く受け止めなければなりません。

例えば、女性差別を受けた人が男性になることで、差別が解消される訳ではなく、部落差別も同様なことが言えます。差別を生む社会を正すこと、社会の構成員である私たち一人ひとりが人権に対して正しい知識を得て、理解を深めていくことが必要なのです。

日本も21世紀に入って十数年が経ちながら、冒頭の人権関連法が必要とされるような状況では、まだまだ人権後進国です。
法律施行を契機に、人権保障の分野でも日本が世界のお手本となるよう、どんな差別も存在しない社会の実現に向けて不断の努力を重ねなければなりません。

友永健三 名誉理事

部落解放・人権研究所名誉理事 友永健三 氏

奥田均 教授

近畿大学人権問題研究所教授 奥田均 氏

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